2009
12/1

ある拉致監禁被害を受けた元信者の日記

2010年5月のゴールデンウィークのこと。新潟在住のある男性が何年かぶりに自宅の押し入れを大掃除していた時、見慣れないノートが発見された。古びたそのノートをめくってみると、思いがけない内容が記されていた。それは、なんと、1994年に新潟の松永堡智牧師(新津福音キリスト教会)に監禁下で脱会説得され、脱会後、新津福音キリスト教会でリハビリ生活をしていた元統一教会信者が書き残した日記だったのである。15年の歳月を経て拉致監禁被害者の思いを綴ったノートが偶然にも見つかったのである。

ノートには、日記の主であるK君が監禁下での強制説得により脱会した後、監禁現場に足を運び脱会説得の手伝いをしたり、父兄会で自分の体験を話したり、元信者と交流したりしながらも、家族との軋轢や牧師の欺瞞性への軽蔑、監禁下で説得することの疑問や、「統一教会へ再び戻りたい」という思いと「もう戻れない」という思いの葛藤、孤独と苦悶が切々とつづられています。またこの方は当会副代表の後藤徹や当会会員の川嶋英雄の監禁現場にも訪れています。

御本人の承諾を頂き、プライバシーに配慮したうえで、その一部を掲載します。

<目次>

元信者の日記─その1―気を許してはいけない

Diary  ○○○○(本人の氏名)

‘95.7.10(月)
お父さん、お母さん、○○○、愛しています。心から……。
文鮮明さん、××××さん頑張って、……。

神様、助けてください。
生と死

牧師さんとその息子さんの関係を見るにつけ、好ましいとは思えない。
牧師さんの奥さんが出してくれた冷やし中華などちっともおいしくなかった。
私の家の方がおいしい。

‘95.7.11(火)
気を許してはいけない。
みんなは、反統一教会が当たり前の人達だ。
そんな中にいれば染まってゆくに決まっている。

今日は何をするだろうか? どういう態度で過ごしたら良いか。
信用できる人
●河合隼雄
(以下氏名略)

宗教と科学の接点
かなり長い間。

‘95.7.12(水)
調子のいい事を言って脱会者に合わせてはいるけれど、内容が伴っていない。
ありのままの自分でいい。
□□さんはとても信用できそうな人だ。お兄さんがまだ統一教会に入っているという。
でもわからない。
洗脳されないように。
いっぱい本を買うはめになる。
全部で¥13150―にもなる。
読んで意味があるのだろうか。
妄想、○○○○(本人の氏名)
自分はクリスチャンになる気などない。

‘95.7.14(金) 神よ、我を救いたまえ!
‘95.7.17(月) 今はリハビリ期間なのだ。
‘95.7.18(火) 今日、裁判に出た。
こうして私も反対派の一人に数えられるようになるのだろう。
‘95.7.19(水) そうだ。私はブッダやイエス・キリストを求めている。
世俗界は苦しいのだ。
だからブッダ、キリストを求めている。”95.7.20(木) 僕は河合隼雄の本が好きだ。 自分の気持ちに正直に行こう。
‘95.7.24(月) 統一教会員を子に持つ親の苦しみが理解できた。
本物はいないか。
○○○○さんは本物か、やっぱり偽物か。○○さん、どうか本物であってくれ、 どうか本物であってくれ、どうか……。
イエス・キリスト、ブッダ、俺を指導してくれ!
□□□□、だれか本物でいてくれ、本物で……。

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元信者の日記─その2―汚ねえ・・・すべて裏工作があった

‘95.7.26(水)
□□さんよ、本物であってくれ。俺の勝手なナルシストの思い込みかもしれない。
けれど、どうかどうか、本物であってくれ。
□□さんよ!
どうか本物であってくれ。神とは何と難しいのか。
God
God
God God

‘95.7.27(木)
□□□大の川嶋君(※文末を参照してください。)
頭がいいよ!
宗教と科学の接点
タバコ、女、酒

□□さんよ、また
どうか本物であってくれ
どうか本物であってくれ

‘95.8.1
牧師さんは、福音を伝えているか?
午前中の勉強会は体調が不全ということで休み。
午後は一体何をしていたのだろう。
創造力(原文のまま)の弱い人は創造力のある人の邪魔をする。
有田芳生、牧師さん
キリスト教の人はそっち系統だと思う。
創造的になろう。
河合隼雄を読もう。
□□さんよ、本物であってくれ。
○○さんよ、本物であってくれ。
なにか違うんだ。
彼らと一線を引いておきたい何かがあるのだ。
脱会活動を一つの仕事と考えているのか。
ふざけるな。
なんで存在してるんだ。

‘95.8.3
川嶋君が正しい。
説得に来る人はなんか変だ
そうさ、原理はたぶん正しい
□□さんは偽物かもしれない。今度は。○○さんが本物か。
□□さんよ、本物であってくれ。
□□□□さん(27歳)

・汚ねえ
・俺はマンションの中でウソをつかれて説得された。
・すべて裏工作があった。
牧師よ
あんたいったい何なんだ。
早くここをおさらばしたい。
そのためにはアルバイト→お金→独立

サタン、
自由
牧師はいったい何をやっているんだ。
新興宗教を扱っている牧師は皆創造力がない。

□□さんのために祈ろう。
・□□さん ・○○さん
・□□さん ・○○さん
・□□さん ・○○さん
皆、皆、皆

△△さんは、松永牧師から紹介された。

※7月27日と8月3日に登場する川嶋君とは、当会会員の川嶋英雄さんの事です。
川嶋さんの拉致監禁体験については当ブログhttp://rachi.info/article/113711886.html を参照してください。

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元信者の日記─その3―明日の証しは何を述べよう

‘95.8.5
明日の証詞(あかし)について、何を言い述べようか迷っている。迷うのは仕方がないとして、自分の統一協会(原文のまま)に対する基本姿勢さえ、定かでない。反対したくない。…………また頑張れ○○○、統一教会という気さえある(のか?)。

このような統一教会に対するスタンスで、父兄の期待することを述べられるであろうか。

否、何よりも、統一教会の怖さ、恐ろしさみたいなものを含んだ形で、また批判的な思いを埋め込んだ形で語れるであろうか。そう考えると、心もとない。

ただ、私は事実、ここにいて、リハビリメンバーとともに居れてとても楽しいし、幸せであるということだ。また、統一教会に対する批判が旺盛になるのも、もう少し後になるのかもしれない。

あと、昔の脱会者の人に品定めされそうで怖い。「こいつはまだ原理的だ」とか「こいつはもう大丈夫だ」とか……。

基本スタンスは、今の正直な、先に述べたようなものだ。しかし、それでは、親に心配をかけるような気もするし、少しは教会に対して批判的なことも述べておかねばなるまい。

だが証詞することによって、認知不協和理論が働き、人前ということも手伝って、本当にセルフコントロールしてしまって、自分を反統一教会の立場に置いてしまいはしないだろうか。

ただでさえ、説得に行ったり、リハビリメンバーと話したり、環境コントロール情報コントロールされされている中にあって、自然と反統一教会的言動、行動が出るようになった自分であるのに。

私は反統一教会の立場は取りたくないのだ。ただもう統一教会には戻れないだけだ。

もし私が、父兄の駆け込み寺的存在を助ける一員という立場でいることが、反統一教会というならば、私は仕事に時間を割くこと、スポーツなどに時間を割くことを第一優先にしなければならない。

この証詞さえ終われば、そういう方向に動くつもりでいる。そして、一人暮らしをし、お金をためて海外で脱出する。

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元信者の日記─その4―○○さん、よく平気でそんな”うそ”が言えるねぇ

‘95.8.5続き
●●さんに”言え”と言われたこと。たぶん証詞がいかに感動的か否かで献金を多く出させようとしているのだろう。○○さん、よく平気でそんな”うそ”が言えるねぇ。牧師さんの行動に感服するってか?

そう、川嶋君は正しい。
そう、結局自分が両親を伝道できなかったのよ。

○○さんの為に祈ろう。どうか生きててくれ。○○さん、どうか生きてて……。

‘95.
有田芳生の創造力のなさ。
マスコミのバカさ加減。

○○さんよ、あなたは生きててくれ。統一教会のどこが悪いのか。統一教会は悪くない。自分には戻る決意がないだけだ。

‘95.8.11
やっぱり原理に戻ろうか。私は○○さん、□□さんのために祈ろう。私はどうしたらよいのか。
もう二度と行かない方がよい。
俺は環境ごとつかまってしまった。反牧(統一教会に反対する牧師のこと)という環境ごと。何とかこの環境から逃げ出さねばならない。

牧会者(牧師などのこと)は自分の時間を割いてきてくれているのではない。傲慢で暇だから来るのだ。

あの牧師(松永)は間違っている。自分の理解を超えていると「わかってないね」という。システィナ礼拝堂のことも知らないとは。

もっと考えて行動せよ。

‘95.8.19
今日、△△兄の姿を見た。△△兄、信仰の友だった△△兄。
○○さん、○○さん、蘇生してくれ。

‘95.8.20(日)
今日は本当にすごい一日だった。こんな自分でどうして統一教会の人に対し申し開きできようか。昨日●●兄が一生懸命、街頭で伝道している姿を見た。
神はすみやかに審(さば)いてくださる。
私を正しい方向に導いてほしい。

‘95.8.21(月)
□□さんは死んでしまうのか。□□さんよ生きててくれ。
命がけ 命がけ
●●兄、どうか。
□□さんよ。
狂っている人の方が正常だ。
孤独です。とても孤独だ。
太宰治よ、芥川龍之介よ、大好きだ。

‘95.8.22(火)
人間は物事をそのまま見ていない。現実を見ていない。この言葉自体がスクリットを通した見方なのである。

根が深ければ大木が育つ。信じて滅びよ。
孤独だ。孤独だ。希望がない。希望がない。神よこの世の中をもっと生きやすくしてほしい。

神の子。日本、世界、宇宙、天宙。
△△君、■■君、◆◆さん、□□さんに生きていることを望むのは酷なことかもしれない。だって18歳からずっと原理だったんだから。
□□さんが僕から離れていく。止められて良かったと言える□□さん。◎◎◎のことを聞いて吐き気がするという□□さん。
□□さん、□□さん、□□さん、

生きよう 目で見よう 食べよう 匂いを嗅ごう
歩こう 足を動かそう 口を動かそう 生きよう

浅見定雄さん 松永さん 紀藤正樹さん
伊藤さん 渡辺さん 山口廣さん
宮村さん 川崎経子さん 中村敦夫さん
やりたくないことをやるのは罪だ。

この記事へのコメント Posted by 川嶋英雄 at 2010年06月17日 07:27
川嶋より一言。彼の日記(1995年)8月20日付で「今日は本当に凄い一日だった。
こんな自分でどうして統一教会の人に申し開きできようか」とあります。私自身の監禁記録によると、この日は有田芳生氏の新潟講演会の日でした。また私自身が監禁場所を移動させられて脱会メンバー10名前後がそれを手伝った日でもあります。彼自身もそのうちの一人として手伝っており、そのことが文章に現れているのだと思われます。
そういえば、彼ら脱会者たちの何人かは、反統一教会報道のテレビにもエキストラ役で出演した、と言っていましたので、当時の画像を探してみるのもよいかもしれません。

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元信者の日記─その5―どうしてこういう悲劇が起こるのか

‘95.8.23(水)
□□さん □□さん ■■さん ■■さん
孤独で戦え。
□□さん 生きてて。
■■さん 生きてて。
普通に生きたい

統一教会に反対しなければならないのか(注:統一教会に反対しなければ、牧師たちから人間として生きることを認められない苦痛の心境を吐露したものです)。

‘95.8.24(木)
○○さんや脱会者に対して悪いと思うのはどうしてか。○○さんに苦労をかけたと思う分だけ彼女たちに引きずられていく。
もし私が原理に戻るのなら早い方がいい。

□□さん、■■さん

もしかしたら○○さんや松永先生と戦わなくてはいけなくなるかもしれない。

正直に言えば、中途半端にマンションを出た。というのも、妹の圧力もあったし、家族にも悪いと思ったし、何よりもうマンションから出たかったからだ。

‘95.8.24(金)
■■さん、皆、皆
■■さんが死んでしまう。どうしてこういう悲劇が起こるのか。

お釈迦様、あなたは東洋の道と神秘の教祖だ。そしてイエスよ、お互いに力を合わせよ。
どうしたらよい、どうしたらよい。

□□さん、■■さん、生きててくれ。

この記事へのコメント Posted by 小出浩久 at 2010年07月18日 21:52
すまない。この日記の著者よ。すまない。自分が、統一教会に戻って、じっくり本など書
いていないで、松永牧師のそばに住んで一人ででも、監禁に対する反対活動をしていたら、こんなことは、簡単に防げたかも知れないのに。自分に勇気がなかった。くそー。松永牧師の欺瞞は早く暴きたい。

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元信者の日記─その6―今日もおそらく、説得に行くが俺の本心ではない

‘95.8.27(日)
□□さんが、原理に対してスッキリしたと言った。
□□さんが、政治家なんて信用できないと言った。
宮村に取られる気がした。統一教会でのこと、ご苦労様。
チャンスある人が頑張らなくてはいけないのだ。
いつか。

孤独だった。□□さんが、統一教会を撲滅させたいといった日、ぼくは孤独になった。その日以来、□□さんが僕の思いの中から少し薄れてしまった。□□さん、ご苦労様。

□□□□さん

川嶋君の気持ちが理解できる。相対者(注:婚約者のこと)が(統一教会を)辞めて、非常に泣いたと。
川嶋君、頑張れ、△△さん、頑張れ。皆頑張れ。
脱会者の皆さん、ご苦労様。

リハビリメンバー
1.□□さん 2.□□さん 3.◇◇さん
4.◆◆さん 5.▽▽さん  10.◎◎(本人の名前)

神よ、神よ神よ、
皆を正しい方向へお導きください。
○○さんご苦労様。

‘95.8.28(月)
今日もおそらく、説得に行くが俺の本心ではない。だから行った先の人気にしないで。

‘95.8.29(火)
少し楽をした。僕は結局、統一教会へ戻るのだろうか。

‘95.8.30(水)
おお神


神よ

‘95.9.2(土)
何かが違う。そして全てが違う。
川嶋君は間違っていない。
伊ザナギよ応援頼む。僕の中のイザナギ。

‘95.9.3(日)
生きててね。

‘95.9.4(月)
イザナギをなくすな。

‘95.9.6(水)
原理に戻るか戻らないかの議論ではない。「いつ戻るか」だ。
神よ正しく裁いてくれ。
神よ正しく裁いてくれ。

宗教と科学の接点。

この記事へのコメント Posted by 川嶋 at 2010年06月30日 08:15
川嶋です。 8月27日付で、「川嶋君の気持ちが理解できる。相対者が辞めて、非常に泣いたと」とあります。 たしかにその2週間ほど前、松永牧師と脱会者のいる場で、元相対者についての話題になっています。以下の体験談にも記載してあります。http://rachi.info/article/122135350.html
きちんと時系列で合っているのが分かります。
1995年の3月ごろまで、同じように、無理やりに松永牧師の下で説得活動に加わらせられたものとしては、痛いほど心境が分かります。毎晩うなされていた自分を思いだします。
Posted by 小出浩久 at 2010年07月18日 22:00

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元信者の日記─その7―たぶん、新津教会の中では、僕は浮いた存在だ

‘95.9.7(木)
僕は原理に戻る。僕の中のイザナギは原理に戻りたがっている。たぶん、新津教会の中では、僕は浮いた存在だ。でもそれでよいと思う。

条件を立てよう。△△君がバイトの日は、御旨の道を一つ一つ自分のものにしておこう。イザナギの形状がバイクだ。だれが何と言おうとバイクだ!

早くこの環境、つまりこういうことだ。綿の中の針、この針を張りのままで生き延びるにはどうしたらよいか。いつかここから飛び出せ。綿になるな。針のままでいるにはどうしたらよいか。

原理講論:基本的に説得に行くな。記号のように説得に行け。仕事を早く持て。

御旨の道118ページ第四項目「あなたはサタン世界に監禁された捕虜である。サタンの包囲網を破って新しい道を開きなさい。そうしなければ死ぬ。」

神様、分かっているんです。だから僕は綿の中の針だと、自分で感じているんです。綿がここでいう包囲網だと思います。どうしたらここから破って新しい道を開けますか。どうやって包囲網を破っていったらよいのか。どこにもサタンの手が伸びてきます。エデンにしてもそう。常に牧師さんの手が伸びてきます。

だからこの手を逃れるには、常に牧師さん、□□、脱会者には内緒で開拓していかなくてはなりません。そしてとりあえず、アダムエバ(注:男女として愛しあうこと)だけには気をつけなくてはいけない。

‘95.9.8(金)
「道を歩く時、両側に父母を置いて侍るようにして歩かなければならない」(注:「御旨の道」347ページ)

やはり、包囲網を突破しなくてはならない。包囲網→平気でバイクに乗れ!自分に原理に戻る決意がないだけだ。

‘95.9.10(日)
「統一教会に入教してから死ぬまでのものは、すべて審判を受ける資料となる」(御旨の道)

‘95.9.13(水)
「相対基準とは、心情を中心として言った言葉である。完成というのもすなわち心情の完成を言うのである。」(御旨の道)

川嶋君の言うことがよくわかる。牧師が信じられないのでよくわかる。僕も統一教会に戻る。いつか。
◇◇さん、◆◆さん生きていて。

新しい道を開く→とりあえずバイト。

この記事へのコメント Posted by 小出浩久 at 2010年07月18日 22:0
すばらしい。すばらしい。
人間が、神を、真理を求めようとする姿勢。それに、あたえられる悟り。この日記の著者に死ぬ前に必ず会いたい。そして、彼を抱きしめたい。

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元信者の日記─その8―いつまで続くんだ、こんな暮らし

‘95.9.13(木):続き
まずやることは、新しい道を開くこと。就職は来年の4月。できれば公務員。今は9月13日。もう少し。とにかく動く。まず動く。明日はもう一度親と話す。もう勘弁してくれ。「御旨の道」206ページ4行目「打たれて奪ってきなさい。よくやったのにサタンが三度打つようになれば、その時は神様が手を付けてくださる。」

「よくやる」とはどういうことか。仕事をすることだ。

尾崎は本物。
セナは本物。
あとだれが本物か。

分からない。◆◆さんもすっきりしてしまう。皆、皆。さびしい、さびしい。生きろ、生きろ、生きろ、五感を働かせよ。

いつまで続くんだ、こんな暮らし。
いつまで続くんだ、こんな暮らし。
いつまで続くんだ、こんな暮らし。こんなリズム。
いつまで続くんだ、こんな暮らし。こんなリズム。

◇ちゃんの家にでも行くか。不平、不満は言うな。

‘95.9.16(土)
「人を指導しようとする者は、その人よりもっと苦労しなさい。より祭物となりなさい。そして温かく切ない心情で対しなさい。」

早く、新しい道を開発し、その道を進まなければいけない。
神よ、我を正しい方向へ導きたまえ。
■■さん、□□さん、生きといておくれ。俺はなぜここにいる。
△△さんのためにも、ここから脱出すべし。僕の中のイザナギよ、生きててくれ。
なぜ礼拝に行くのか。

‘95.9.17(日)

「道を歩く時、両側に父母を置いて侍るようにして歩かなければならない」(注:「御旨の道」347ページ)
寺山修治は母親に苦労した。僕も苦労している。神話の世界のように、僕は母親殺しをしなくてはならない。もし僕が統一教会に戻るにしても、両親によく話をして戻りたいと思う。

マンションの中で出した結論:統一教会を辞める→リハビリをする。
大事に行こうイザナギ、父性原理、オオカミ
信仰との勝負。

8カ月(注:おそらく監禁期間のこと)、妹が少しあきらめる。
結論を下せるものではない。
川嶋君、あなたは正しい。

‘95.9.18(月)
「自分の前に天倫を先立たせていきなさい、そうでなければ倒れる。」(御旨の道)

分からない。神様、俺は分からない。

この記事へのコメント Posted by 15年後に分かった真実。 at 2010年07月11日 21:23
川嶋です。以下かなり長いコメントです。
(以下、彼の事をK君と呼びます)
9月半ば頃、松永牧師と彼が2人で監禁マンションに訪ねてきました。以上、細部は忘れましたが、大筋で以下のような会話、やりとりをしました(松は松永の発言、Kは彼の発言、川は私)。
(いくつか聖書や統一教会の「間違い」などについて会話を交わしたあと)
川「(松永氏の「新興宗教が聖書を曲解している」という主張に対して)新興宗教も既成の宗教も、神を敬う根本的な部分はおなじはずだ。例えば統一教会の教義においては、神の実在と心情とが大前提となっている事に目を向けるべきではないですか?」
松「(小馬鹿にしたように)へー、そんなことが『原理講論』のどこに書いてあるのかなあ?」
川「例えば……ここです(序論の該当箇所を示す)。あなた、私が答えられるとは思っていなかったでしょう」
松「(小馬鹿にしたように)それは、序論だから、本文とはちがうんじゃあないかなあ?」(注1)
川「序論は本文の主旨を正しく理解した上で説明するもので、むしろ教義が正しく反映していると見るべきではないですか?」
松「(叫ぶようにして)唯一神、創造神なのは、キリスト教だけだ!」(注2)
川「もしかして、その理由も『聖書に書いてあるから』とか言うんではないでしょうね」(注3)
松「(小馬鹿にしたように)書いてあるじゃあないか。一番最初に」
川「……ああ、なるほど、旧約聖書の一番最初ですね」(注4)
K君「彼は矛盾していますね」
川「(松永氏の得意げな顔を見て、あきれて)どうして分からないんでしょうね」
松「(勝ち誇ったような態度で)そう、どうして分からないんだろうねえ」
川「いや、あなたが、という意味なんですが」
(—-このあと、統一教会に戻る戻らないよりも、このような監禁行為を続けるアナタ達が信用できないんだ、と強く訴える—-)
松「それでは、何を言っても信用してもらえない」
川「だから、疑いようのない証拠がある情報のみ信じます。他に何があるんですか」
松「(疲れたように)もう遅いので帰ります」(注5)
K君「(去り際に握手を求める)ぼくは川嶋君のことを信じていますから」
(2人、帰っていく)
(注1)松永氏は、説得を始める際『原理講論』序論の「無知は死の影」という意味の箇所を持ち出して、「あなたは統一教会について何も知らないんだ、ここでよく知らないといけない」と言うのが定番のようになっている。川嶋に対する説得もまずこの言葉から始まったのだが、松永氏はこの時、すっかり忘れていたようである。
(注2)松永氏は会話の中で興奮すると、キリスト教の代弁者気取りになるようである。警察官ならば逮捕・尋問などの前に身分を証明する。松永氏も、ここまで大仰なことを言う前に、自分が誰それの認可を受けて、何の権威によって説得を行っている、といった、自らの立場への説明責任を果たすべきではないか。
(注3)これは、もし「聖書に書いてあるから」と答えるなら、あなたは客観性を欠いた感情論の立場ですよ、アナタはそういうカルト的な人間なんですか、という皮肉だった(客観性を重んじるなら、ここで主な宗教一つ一つについての分類整理を示すべきである)のだが、松永氏には理解できなかった、というかズバリそのものだったようである。
(注4)これは、少なくとも世界の三大宗教(ユダヤ・イスラム・キリスト教)で聖典とされている旧約聖書の最初の部分ですね、という意味で、もしそうなら「唯一神、創造神なのはキリスト教だけ」という主張は明らかに間違いですね、と言ったのだが、すでに感情的になった松永氏は、論旨を理解できなかったようである。
(注5)そもそも夜遅く突然訪ねてきたのは松永氏の方なのだが。。。深夜0時近かったので何も言わず見送る事とした。ただしその後はさらに、家族から「なんで牧師先生の言う事を聞かないのか」との責め苦が待っていた。
……正直、会話の中でH君が急に「彼は矛盾していますね」などと言い始めたので、私はガッカリ、かつカチンときました。ずっと聞いていて、そのような判断しかできないのか、そこまでイッてしまっているのかと。まあ、それゆえに、このときの会話(大筋)を覚えていたわけですが。。。別れ際、握手にも嫌々応じましたが、彼は両手でしっかり握ってきました。
15年後のいま、思い起こして、そういうことだったのかと。彼の内面には全然気付きませんでした。
9月18日、「川嶋君、あなたは正しい」とノートに大書。
K君、すみません。ずっと誤解していました。
松永牧師自体も大変なこと(拉致監禁強制説得)をして、その人の思考過程自体がかなり大変な状態ですね。私も、松永牧師とやりとりしましたが、私が、医者だったせいか、そこまでは、小馬鹿にされなかったですね。本当に自分は、他の監禁経験者に比べ、精神的にはずいぶん楽だったんだなあと思います。K君と話したい。
Posted by 小出 at 2010年07月18日 22:27

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元信者の日記─その9―僕は、翼を濡らして、飛べない鳥だ

‘95.9.19(火)
僕は、翼を濡らして、飛べない鳥だ。寺山修治は言っている。
濡らして飛べないよりは、親不孝をお勧めする。イザナギ神、我を援助せよ。

‘95.9.24(日)
今日はカトリック教会へ行った。母親が来た。

‘95.10.4(水)
もう新潟に来て一年になる。今日、後藤さんの所へ行った。今、後藤さんはどんな気持ちでいるか。本当に一人孤独に闘っている。かわいそうだ。どうか神がいるなら、いるなら、なんとかしてくれ。

‘95.10.5(木)
僕はどうしたらよいのだろう。原理にも就かず、完全な脱会者ともならず、ただこうして、自分の中にあるイザナギを、バイクを走らせることで充足させたりしている。僕は傷つきたくない。

田口民也氏の本に載っていた人を僕は裁いている。ふざけるなと思っている。でも僕も小賢しいように生きている。僕も逃げている。

‘95.10.9(月)
神よ、文鮮明よ、我を救え。真の救いへ!

‘95.10.10(火)
このままでは、俺、骨抜きの男になっちゃう。この環境は、母親の子宮の中と同じだ。抜け出すにはどうしたらよいか。統一教会に戻ることか。なぜ戻らない。信じられないからか。早く統一教会へ戻れ。妹が車を持って行けと言った。そして21日、22日は両親がいないと言った。また牧師と何か企んでいるのだろうか。このダイヤハイツから早く抜け出さなければならない。

この記事へのコメント Posted by 小出 at 2010年07月19日 08:
この日記の著者と、ほぼ同じような心境を、著者の期間の直前に自分がしていることに不
思議なものを感じます。ここ一年で、二回新潟に行き、何か活動を新潟でしなければならないと自分が感じたのは、こういう問題の解決の為のような気がします。真理を悟り、行動するには、厳しさだけでなく、誰かの優しさが、必要だと思いました。著者の母や妹さんのなかに、優しさがあったのか。そうしたら・・・よかったのに。

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元信者の日記─その10―苦しい、苦しい、苦しい

‘95.10.18(水)
僕の中のイザナギが消えかかっている。イザナギの形状がバイクだ。このイザナギの当てはまる場所は統一教会である。でも、そこへ戻れないのは、流されているからと、バスの運転と勇君の家庭教師があるからだ。(土)統一教会へ行ってみよう。

‘95.10.22(金)
絶対、自分の中のイザナギをなくしてはいけない。生命に代えて。

‘95.11.11(土)
久しぶりに筆を執る。
今日つくづく感じたこと。
牧師はなんて人だということだ。僕にはやらなくてはいけない仕事があったのだ。あったのだ。あったのだ。よく、自分はまともだという態度で来れたものだ。
礼拝にはいくまい。
父兄の勉強会にも行くまい。

明日一日何をしよう。
もし私の行為が■■の手のひらで遊んでいるとしたら。でも、どうしよう。行きたくないのか。統一教会へ戻れ。●●●●、あなたは偉い。

‘95.11.17(金)
僕は原理に戻る。いつ戻る。あとここで何がしたい。特にないだろう。早く戻れ。

‘95.11.18(土)
早く原理に戻れ。
髪が伸ばしたい。
ウェスタンブーツがはきたい。
シルビアに乗りたい。

‘95.11.23(木)
御旨の道というみ言葉集を後藤さんのところにおいてきてしまった。やはり説得に行くという行為は、み言葉一つ分なくすくらい大きな損失なのだ。

神よ、文先生よ、私を原理に導いてほしい。
父権がほしい。今の父のようになりたくない。

結局いろいろな弊害があるけれど、原理に戻るか、戻らないかのどちらかだ。僕の中の狼が吠えている。

‘95.12.26(火)
アルバイト先は、み言葉一つを復帰するくらいの意味がある。
今日、■■君(筑波大)が、数学は文学だということを言っていた。
数学者=哲学者
デカルトは数学者だった。
「我思う。ゆえに我あり」
数学を突き詰めると哲学になる。なんてすばらしいのだ。

どうしてこんな意識の中に僕は生きているのか。山口広氏、有田芳生氏は非原理的に理想世界を打ち立てようとして砕かれた。よって神はその恨みを解くために、神に反逆することを許された。冬期講習が終わったらどうするか。

‘96.1.6(土)
今日が冬期講習の最後の日である。
それでもよくくらいついて行ったと思う。途中、何度も問題はあった。

苦しい、苦しい、苦しい。
苦しい、苦しい、苦しい。生きてこそ。
苦しい、苦しい、苦しい。
苦しい、苦しい、苦しい。

今問題となっていることは何か。塾に行くことで、僕は生徒のまたは塾の運勢を下げてはいないか。

自分はどうしたいのか。もっと自由に、もっと楽しく、もっともっと幸せに生きたい。
そのために必要なことは何か。

原理問題をどう処理するか。そして自分の態度をどう決着付けるか。統一教会に対して、松永牧師に対して、家族に対して。
塾よ、僕の犠牲になっている塾よ。

ごめんよ、塾よ。

■■さん □□さん △△さん ▲▲さん ●●さん
◎◎さん ○○さん ◇◇さん ◆◆さん ××さん

‘96.2.5(土)
今日、やっと★★さんに会えた。

この記事へのコメント
この日記を十分に理解できなかった方は、私に質問を下さい。そして、この日記を書かれた方、謝りたいし、話をしたいので、是非、連絡を下さい。
自分(小出)が、自分(小出)の心を大切に行動できなかったので、君がこんなに苦労したんだ、悩んだんだ、君のせいじゃない!!!たぶん、神は、そう準備していたのに。
Posted by 小出 at 2010年07月19日 08:4

以上を持って「ある拉致監禁被害者の方の記録」を終わります。
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